遺産分割協議書と遺産分割協議証明書の違いとは

遺産分割協議を終えたら

遺産の分け方を相続人の間で話し合うことを「遺産分割協議」といい、その結果を書面にしたものが「遺産分割協議書」です。

そして、これを用いて不動産の登記や預貯金の払い出しなどの相続手続きを行います。

ところで、この「遺産分割協議書」と似たものに「遺産分割協議証明書」というものがあります。

このふたつは、相続の内容について書かれていることは共通ですが、違いがあります。

遺産分割協議書と遺産分割協議証明書との違い

遺産分割協議書は、相続人連名で署名し押印しますが、遺産分割協議証明書は、相続人個々に作成し、自分の証明書に署名し押印するだけです。

例えば、相続人がA、B、Cの3人いるとすれば、遺産分割協議書は3通作成するわけですが、その3通のすべてに、3人の相続人が連名で署名し押印します。

一方、遺産分割協議証明書の場合は、相続人A、B、C各々の分しか作成しません。Aの遺産分割協議証明書には、Aしか署名、押印しません。

では、このふたつをどう使い分けるか、どちらを選択するかですが、相続人があちこちに居る場合などは、遺産分割協議証明書の方が便利です。

例えば、相続人が鳥取県と秋田県と沖縄県に住んでいる場合、遺産分割協議書の場合だと、3通の遺産分割協議書を3県で持ち回りしなければなりません。郵送の場合でも結局そうせざるをえません。

もちろん3人の相続人が一堂に会して署名すればいっぺんで済みますが、そうでなければ、手間と時間がかかりますよね。

こんな場合には、遺産分割協議証明書にすれば便利です。

例えば、Aが相続人の代表だとして、AがB、Cの分も作成して、B、Cに郵送して、B、Cがそれに署名・押印してAに送り返せばそれで済みます。

要するに、遺産分割協議証明書なら時間と手間が遺産分割協議書にくらべてかかりません。

遺産分割協議証明書には、そういう利点があります。

しかし、欠点は、A、B、Cの3通揃わないと相続の手続きができないことです。そのことはイコール、自分以外の相続人が協議の結果に同意しているかどうか証明ができないということです。

手続きが終われば、BもCも自分の返してもらえばいいですが、自分のものだけ持っていても、相続人全員が同意したかどうかの証明にはなりません。

両者にはこのような一長一短がありますので、相続人の状況などを考えて決めるべきでしょう。

なお、言うまでもないことですが、行政書士や司法書士の専門家に頼めば、お金はかかりますが、時間と手間が省けることは間違いありませんので、ご依頼されたい方は、どうぞ当所にご相談ください。